断言)ボルトの世界記録は100年破られない

分析

そもそもウサイン・ボルトとは?

陸上競技をしていない人でも名前を知っているウサイン・ボルト。

なんで彼ってこんなにも有名なんでしょうか?

一つは彼が持つ世界記録です。

100m、150m、200m、4×100mリレーの世界記録を保持しており、15年以上経った現在、一つも破られていません。

もう一つ挙げるとすれば、その活躍した期間です。ボルト選手はおよそ10年もの間、短距離界の頂点に君臨し続けました。

そしてなんといっても彼は盛り上げ上手です。ここ近年で彼ほど会場を沸かせることができたスプリンターは、ほとんどいません。空に向かって矢を射る独特のポーズは彼の代名詞です。

さて、今回はそんなボルト選手の100mにフォーカスします。

世界記録、9.58を100年先も破られないと断言できる理由を他のスプリンターと徹底比較して書いていこうと思います

1.驚異的なスピード維持力

彼の世界記録を破れない理由一つ目は、後半のスピード維持力です。

一般的に100m走においては、最初の60mを前半、残りの40mを後半とすることが多いです。

日本人スプリンターの中で後半が強い選手と言えば、サニブラウン・アブデルハキーム選手です。参考までに、彼の後半40mのタイムは、3.52(PB9.96マーク時)です。

9.96を出したパリ五輪準決勝では、見事なスタートを見せた

他の日本選手選手を挙げれば、ケンブリッジ飛鳥選手が3.50、桐生祥秀選手が3.48をマークしています。

現役で後半最速として知られるスプリンターは、ノア・ライルズ選手です。2018年以降彼の後半に付いていけるスプリンターは一人もいません。

ノア・ライルズ(アメリカ)PB9.79。根っからの後半型

そんなライルズ選手の後半40mのタイムは、日本人選手を大きく上回る3.33。正直異次元です。歴史上でも3.3台で走れるスプリンターはほとんどいません。

では、ボルト選手は一体どれくらいで走ることができるのでしょうか。

なんと彼が世界記録9.58を出した時のタイムは3.27です。

3.2台に到達したスプリンターは歴史上彼一人。

皆さんが予想した通り、ボルト選手の後半は、他選手の追随を許しません。

2.全然苦手じゃなかったスタート

彼の世界記録を破れない理由二つ目は、前半の爆発力です。

たまに、スタートだけならボルトに勝てるという野球部や中高生がいますが、とんでもない暴論です。

日本人選手でスタート型といえば、山縣亮太選手です。

日本記録を出したレースでは世界レベルのスタートを切った。

日本記録9.95を出した時の前半60mは、6.43だったと言われています。

また、サニブラウン選手が9.96を出した時は、6.44で60mを走りました。

海外選手はどうでしょうか。

室内60m世界記録保持者のクリスチャン・コールマンは、歴史史上最強のスターターとして知られています。

クリスチャン・コールマンは2018年、室内60m世界記録6.34をマークした

そんなコールマン選手の前半60mのベストは、6.32。異常値です。

また、世界一美しいと称されるスタートを武器に、100mの世界記録を4度も塗り替えたアサファ・パウエル選手は、前半60mを○○で駆け抜けました。

PB9.72のアサファ・パウエル。その肉体の美しさから生きた人体模型とも言われた。

ではボルトはどうでしょう。後半型というイメージが強いですが、なんと前半60mは6.31(WR9.58記録時)で走っています。

究極の前半型とされるコールマン選手も、ボルト選手には敵いません。

一応補足しておくと、ボルト選手より60mを速く駆け抜けた選手は一人だけいます。

アジア100m記録保持者のソ・ヘイテン選手です。

カタールのオグノデと共同保持していたアジア記録(9.91)を大きく更新した。

東京五輪準決勝で、自身の持つアジア記録を大きく更新する9.83を出した彼。

その際の60mのスプリットタイムは、6.29に達しました。

ただ、このタイムでさえ、ボルト選手との差はわずか0.02秒。およそ20センチの差しかありません。

結論

歴史上最も速いスタートを切ったスプリンターは中国のソ・ヘイテン選手(6.29)。

ボルト選手を抜いて最も後半40mを速く走ったスプリンターはアメリカのタイソン・ゲイ選手(3.31)。

2007年大阪世界陸上チャンピオンのタイソン・ゲイ

仮に彼らがドラゴンボールの世界線でフュージョンしたとしても、9.60です。

あれ?意外と0.02秒しか差がない?

そう思ったかもしれません。ただ、これは前半型のスプリンターと後半型のスプリンターを合わせた結果です。

普通、スタート型の選手は、後半の減速幅が大きく、後半型の選手は体力温存のため、スタートに懸けません。

人体構造的に理にかなった法則です。

しかし、ボルト選手はそれを凌駕しています。

これが彼の世界記録が向こう100年は破られないと、結論づける理由です。

実際、ここ10年間でマークされた最も速いタイムは9.76です。世界記録との差は0.18秒。距離にするとおよそ2mあります。

左2番目から順番にT・ブロメル、C・コールマン、F・カーリー。いずれもボルト引退後9.76を出し、陸上界を牽引している。

最近では9.7台前半の壁が叫ばれていますがますが、世界記録の壁は全く比べ物にはなりません。

とはいえ、100年記録と謳われたマイケル・ジョンソンの世界記録も12年で破られました。何が起きるかは分かりません。もしかするとボルトを超える天才がポンっと生まれてあっけなく更新してしまうかもしれません。

次の10年で人類がどこまで神に近づけるのか、楽しみですね。

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